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  • ディック・へブディジ: サブカルチャー -スタイルの意味するもの
    英国本家サブカルチャー。カウンターカルチャーとしての歴史。
  • 小川洋子: 博士の愛した数式
    数字が繋ぐ「家族」。
  • 穂村弘: 手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)
    現代短歌、ニューウェーブ歌人とは。
  • 大塚英志: 定本物語消費論
    サブカルチャー研究の課題図書ともいえる一冊。
  • 斎藤環: 戦闘美少女の精神分析
    戦闘美少女アニメというサブカルチャー。
  • 西島大介: アトモスフィア
    セカイ系の漫画とは。
  • 吉田満: 戦艦大和ノ最期
    千田先生の発表。 そして「宇宙戦艦ヤマト」へ。
  • 中島敦: 中島敦全集〈1〉
    卒論発表「古譚」。中島敦人気は根強い。

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2007年5月 8日 (火)

たまに行くならこんなゼミ

ゼミ長(ある意味あだ名)スズキです。

今日はわがゼミが一体どんなゼミなのかについてちょっとだけお話してみようかと思います。

基本的に毎週金曜日18時から、千田研究室で活動しています、というのは普段からお伝えしている通りです。

ゼミ員ですが、千田研と愉快な仲間たちが半数、某中大の仲間たちが半数、ゼミ員の友達はみな友達が何割か、千田研OBが何割か、そして先生、で構成されております。

わがゼミは、大学に正式に認定されている自主ゼミではありません。よって、活動や参加に関しては基本的に口コミでじわじわここまで広がってきたことになります。もうすぐゼミ雑誌『F』も発行できるはずです。個人的にもゼミ的にも大変楽しみにしております。

毎週金曜18時ごろ、じわじわとゼミ員が集結し、おもむろに議論が始まります。大抵、お茶やお菓子を用意しております。ハッピーターン確立高めです。発表者による、レジュメを用いた発表が終わると質疑応答の時間になります。議論の内容によってさまざまですが、非常に活気にあふれる時間です。2時間ほど白熱したあと、クールダウンにみんなでご飯を食べたりします。和気藹々としております。まあ、このあたりは他の自主ゼミも同じことと思います。

今期は毎回ゼミ内容を録音していきます。発表者が自分の発表を論文にまとめる際には、音源提供しますのでお声をかけてください。文字起こしもスズキが行います。

なんにせよ参加してみないとわかりませんよね。虎穴に入らずんば虎子を得ず。そんなおっそろしい場所ではないですが。

千田研のドアをノックするのは誰だ?

*スズキ*

2007年4月19日 (木)

とりあえず、本を読む その3

エロマンガ・スタディーズ―「快楽装置」としての漫画入門 Book エロマンガ・スタディーズ―「快楽装置」としての漫画入門

著者:永山 薫
販売元:イーストプレス
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先に断っておきますがエロい話をします。(なんて前書きだ)

漫画研究をしていると、あっさりたどり着くのは「エロ漫画」というジャンルです。漫画研究をしてなくても、人間はエロ漫画にたどり着く、という反論は置いておくとして、エロ漫画というジャンルはあまり表舞台で語られませんが、漫画史において、そしてサブカルチャー史(というものがあるのなら)においても重要な位置付けとなります。

エロ漫画は、エロと冠するだけあってエロティックな描写に溢れた漫画のジャンルです。本書では狭義の定義として「性的な、またはエロチックなテーマで描かれた作品」と「性的な、またはエロチックなモチーフが重要な位置を占める作品」とのことです。

エロ漫画は、「なんでもあり」のジャンルであるといいます。(森山塔の言葉が引用されていました。森山塔は山本直樹の別名です。)ストーリーは破綻していても構わないし(むしろ常に?)、荒唐無稽な設定や状況、身体が描かれます。これらの「なんでも」が「あり」となるのは、根本的なところに「エロ漫画」という特殊なジャンルの、ありていに言えば「目的」が関係します。漫画という媒体に限らず、エロチックな分野というものはある種存在意義が確立されているという奇妙な、しかしながら納得の状況が存在します。

「目的」と遠回しに書きましたが、賢い読者の皆様はそれがなんであるのか海よりも深く理解していることでしょうから説明は省きます。訊きに来ないでくださいね。

本書の言葉を借りれば、「快楽装置」として存在する「「エロ漫画」ですが、これがなかなかどうして興味深い分野です。何より、身体の描写。絵を描いたことのある人なら分かっていただけると思いますが、ヌードデッサンは難しいのです。まず骨格のしくみが理解できていること、そしてその上で筋肉のしくみが理解できていること。それがなければ、服で誤魔化されない身体は非常に「リアル」から遠いものとなります。

「エロ漫画」は、手塚の系譜である記号的な身体で描かれるものもありますし、もっと写実的な表現で描かれるものもあります。しかし、共通するのは、「登場する女性(または男性)が性的興奮を得られる身体として描かれていること」があります。

その上で、様々なフェティッシュ要求(巨乳であること、幼児であること、など)がデータベース的に存在します。東浩紀は本書の帯文で「オタクのデータベースを支える脳内快楽の王国」と述べていますが、「エロ漫画」こそデータベース消費を語る上で欠かせないものなのかもしれません。事実その通りですね。

〈美少女〉の現代史――「萌え」とキャラクター Book 〈美少女〉の現代史――「萌え」とキャラクター

著者:ササキバラ ゴウ
販売元:講談社
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戦闘美少女の精神分析 Book 戦闘美少女の精神分析

著者:斎藤 環
販売元:筑摩書房
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このあたりも合わせて読むと非常に効果的です。

なお、このあたりの議論はいずれゼミで扱う予定ですので、本書は購入しておかれてもいいと思います。漫画研究の分野において非常に良書だと思います。

エロい話でした。

先回りしてトラックバックは外しておきました。

*スズキ*

2007年4月14日 (土)

動物化する…

5d7cfce8.JPGゼミ員の矢野利裕です。東浩紀という人の『ゲーム的リアリズムの誕生 動物化するポストモダン2』(講談社現代新書)という本を読みました。

ここ最近は、何でもフラットにしたがるポストモダンの振る舞いに「それを言っちゃおしまいでしょう」とうんざりしていたので、この本の導入部も全然煮え切らない感じでしたが、第2章の美少女ゲームの考察の部分は個人的にすごく良かったです。まったく新しい批評の論理を作り出さなければならないという内容の文章の中には、東浩紀の熱っぽい人間くささみたいのが、じわっと出てる気がしてけっこう胸に来ました(まあそれがただのインクのしみの集積であることも承知ですが)。しかし、東さんが提案する「環境分析的読解」というのは、従来言われるところのカルチュラル・スタディーズと何が違うのでしょうか。大枠では当然の話のようには思いましたがどうなんでしょう。

賛同するにしても批判するにしても、本ゼミでは避けて通れない一冊だと思うのでちょっとした雑感を書きました。
本日も発表者をはじめ参加者のみなさんお疲れさまでした。

2007年2月17日 (土)

いち参加者の“雑想” vol.1

外部の大学から本研究会にお邪魔している、藤咲王子です。本名ではありませんが、ほんみょうです。

さて先日、下記の下記の小川洋子『博士の愛した数式』についての発表に参加してきました。発表内容の詳細については、発表者が活字化する(論文等の形にする)際の障壁になることを考慮して深くはお話できませんが、一言で申し上げますと、『博士の愛した数式』からある表象を見出し、ある考察を試みようとしたものです。

『博士の愛した数式』と聞くと、僕の頭には寺尾聡の常に泣き出しそうな顔がすぐに浮びます。それと同時に「感動物語」という言葉も頭をよぎります。おそらく、寺尾聡は別としても多くの人が『博士の愛した数式』を「感動物語」として認識しているということは間違いないでしょう。しかし『博士の愛した数式』という作品を「感動物語」として認識するということは、ある一つの解釈コードを使用してこの作品を捉えているということでしかありません。別の解釈コードを用いれば、作品は当然別の貌(かお)を我々の前に晒すこととなるのです。

この『博士の愛した数式』という作品を「感動物語」として認識するという行為がメインカルチャー(主文化)的であるとするならば、別の解釈コードを用いてこの作品を捉えるということはサブカルチャー(副文化)的であると言えるでしょう。本研究会の目的の一つは、下記のゼミ長の「はじめましてのご挨拶」にもあるように、「サブカルチャーの構造に対して、あらゆる側面からのアプローチを試みよう」とすることです。その意味では、今回の発表は「文学」という文化現象のサブカルチャー的解釈を試みたものだということになります。

このようにサブカルチャー(的なもの)に対するアプローチを続けた先には、一体何があるのでしょうか。僕は本研究会への参加を通じて、それに対する自分なりの答えを見出していきたいと考えています。

…ところで、僕は寺尾聡を見るとどうしてもJAYWARKのボーカルの中村耕一を思い出してしまいます。だって…、ねえ、普通に似てません?

2007年1月26日 (金)

とりあえず、本を読む その2

腐女子化する世界―東池袋のオタク女子たち Book 腐女子化する世界―東池袋のオタク女子たち

著者:杉浦 由美子
販売元:中央公論新社
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「オタク」と呼ばれる人たちがいるわけです。そしてそれは、かつては完全なる男性文化でした。蒐集という欲求は往々にして男性のほうが強い、という見解も作用しているのではないでしょうか。「オタク」はコレクター、という一面のほかにも、嗜好の特異性(反一般性)を持っています。

動物化するポストモダン―オタクから見た日本社会 Book 動物化するポストモダン―オタクから見た日本社会

著者:東 浩紀
販売元:講談社
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「おたく」の精神史 一九八〇年代論 Book 「おたく」の精神史 一九八〇年代論

著者:大塚 英志
販売元:講談社
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これらの本が挙げている「オタク」と異なるものとして、冒頭の本で取り上げている「腐女子」と呼ばれる所謂「女オタク」が存在します。この場合は、「やおい」というキーワードが重要になります。「やまなし、おちなし、いみなし」という語源から離れ、現在「やおい」が示すものはボーイズラブというジャンルです。男性と男性の恋愛を描いたジャンルです。「キャプテン翼」の二次創作あたりがその起点でしょうか。(諸説あります)現在では、二次創作ではなくオリジナルのストーリーの「ボーイズラブ」作品が世に溢れています。

男性と男性の恋愛(性交渉含む)は、女性にとって一切「自分」が関わらない世界です。妄想の世界から「自分」を消し去る理由について、本書では「現実とは違う「物語」を必要とするから」と述べています。男性向けの18禁漫画や小説には「セックス」があっても「物語」がない。しかし女性はあくまでも「物語」の中に「セックス」があることを求めるのだそうです。

ほんとか?

最終的に本書は、出産、格差、女性の地位、といった方向に話が進みます。「腐女子」は「腐っても女子」だ、と。

ああ、強いですね…

やはり東や大塚がいう「オタク」とは違う構造があるのでしょうか。そのあたりも考えてみたいですね。

ロマンティックあげるよ。

いりませんか。

*スズキ*

2007年1月21日 (日)

とりあえず、本を読む その1

スポーツマンガの身体 Book スポーツマンガの身体

著者:齋藤 孝
販売元:文藝春秋
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次のゼミまで日があるので、何か記事を更新しようと思い立った次第です。

あえて斎藤孝。

サブカルチャーを考える上で、漫画の占める割合はとても大きいものです。サブカルチャーの中の「メイン」テーマでもある、漫画。これは大変重要な分野です。

漫画は、一見してわかる通り、記号による表現です。連続するコマとコマによってなりたっていく、「連続的芸術(シーケンシャル・アート)」(ウィル・アイズナー)であり、さらに言うならば、漫画とは「意図的に連続性をもって並置された絵画的イメージやその他の図像。情報伝達や見る者の感性的な反応を刺激することを目的として描かれる」(スコット・マクラウド)ものです。

読者は描かれた記号に身体を見ます。記号的な表現に、脳内で情報を補完して読み進めていくのです。これは、記号がより簡潔であるほど当然その傾向は強いものです。

では、漫画は簡素な表現であればいいのか。それは一概にYESといえるものではありません。

周到で精密な描きこみによって作られていく漫画作品は、現実との距離の近親さをもって読者の感覚にコミットします。俗に言う「リアル」です。何をもって「リアル」とするか?記号に「リアル」があるのか?そういった問題は、ぜひともゼミで考えていきたいところであります。

漫画における身体性。

それは、大塚英志がいう手塚治虫の記号表現の問題が一般に知られているところです。「記号的な表現によって、生身の身体が生きねばならない現実を描こうとした矛盾」、このあたりのことはこちらの本に書かれています。

教養としての〈まんが・アニメ〉 講談社現代新書 Book 教養としての〈まんが・アニメ〉 講談社現代新書

著者:大塚 英志,ササキバラ ゴウ
販売元:講談社
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「記号的身体」による、漫画の中での身体表現。

斎藤孝の本書は、「スポーツマンガ」というジャンルに注目して身体論を述べています。

前書きにあるように斎藤氏の言う身体論とは、「身体感覚を中心にして様々な現象を捉えるというスタイル」です。

なるほど本書は、スポーツマンガを通して身体を語って、はいます。

しかし漫画表現に特に注目した論というよりは、あくまでスポーツマンガの紹介と感想、といった域になっているのがやや残念な印象です。

個人的には、もう少しぐっと論をつめていってほしかったのは第7章「ピンポン」です。

これはいずれゼミで、改めて。

ピンポン (1) Book ピンポン (1)

著者:松本 大洋
販売元:小学館
Amazon.co.jpで詳細を確認する

文中に引用されるセリフだけで、本書よりも「ピンポン」を読み返したくなってしまいました。

すいません。

スマイルが呼んでんよ。

*スズキ*

2007年1月16日 (火)

はじめましてのご挨拶

はじめまして、こんにちは。

現代文化研究会のBLOGがようやく始動しました。

ゼミ長スズキです。

現代文化研究会は、東京学芸大学国語科の有志を中心に、2006年5月より、千田研究室にて毎週金曜18時より活動を続けております。

サブカルチャーとは何か?

それを純粋に追求していく自主ゼミです。安定した骨格を持たない「サブカルチャー」の構造に対して、あらゆる側面からのアプローチを試みようというのが本ゼミの目標です。

意慾ある賛同者は常に歓迎です。

次回発表は1月26日(金)18時より 発表者 山田(立教大博士課程)です。

どうぞご参加ください。

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